ゲームについて言わせてほしい

ゲームについて言わせてほしいことを言います。

松山城がとても美しくて、よかった。

SEKIROの漫画を描くために、城のことを真剣に調べはじめてから、城の観光が楽しくて仕方がない。旅行先に城や寺院があると、必ず行程に組み込むようになった。

先日行った愛媛県松山城、これがよかった。

石垣が立派。石垣のカーブがいい。

端っこに指を押し当てたら切れてしまいそうだ。切れ味を感じる。かっこいい。

石垣一個が人間一人分くらいの長さなので、それがざっと20個あるから、高さは35mくらいか。

石垣のカーブは「扇の勾配」と呼ばれ、耐震性の向上、武者返し・忍び返しのために付けられている。

にもかかわらず、登れるかもしれない、という幻想を抱かせるのがニクいと思う。最後は垂直に反り立っているとわかっているはずなのに、ふもとが緩やかなので、登りたくなってしまう。罠である。

 

石垣を見上げると城塞があり、そこから桜の枝がはみ出している。あはれ。あはれだ。

絵になるので絵を描きたくなるが、この写真で完成している気がしてしまい、まごついてしまうほどである。

城に勤める者だって、桜を見て風流を感じたい。いつか戦火に燃ゆるとも。

幸い、松山城は攻められることはなかった。だが、戦災や天災、時代には攻めれられた。

 

天守の小窓から見る忍者の視点が好きだ。

なめらかな丸瓦を見ていると、足を乗せればたちまち落っこちそうだ。でも、その間の平瓦の部分をうまく踏めば不可能ではないかもしれない、そんな幻想を抱かせる。罠である。忍者になりたい。

 

松山城は狭間(鉄砲や弓を打つための穴)や石落とし(石垣を上ってくる敵に熱湯や油をぶっかける穴)が本当にたくさんあった。

狭間からは下手がとてもよく見えるので、攻める側にはなりたくないと思う。

本丸のある山のふもとの二の丸には、使用人や上級武士の住居跡があり、城に通勤していたのだろうが、通勤中も誰に見られているか分かったものではないので、やすらぎが必要だったろうと想像する。

平山城がある県はいいな。外を見れば山の上に城が見える。

生きていたら、何事かにむなしくなって、「駆け込み城」したくなることもあるだろう。松山市民にはそんな場所がある。うらやましい限りである。

 

漫画を描くこと然り、3DCGでモデリングすること然り、どこで資料を見つけてクリエイター諸氏は制作しているのだろうと、長らく思っていた。

 

調べると、土木工法に関する書物や、ものによっては雛形という城の模型まで残っていると知った。廃城は行われたが、城づくりの知恵までは廃されていなかったのだと、知恵の守り手たちのことを思って胸が熱くなった。

 

城を建てたくなったら、『城のつくり方図典 改定新版』三浦正幸 (著)をおすすめする。