NHKの番組「ゲームゲノム」のレギュラー化をよろこび、楽しみにしていた。
「テレビゲームを“文化”として捉え、名作の魅力を深堀りするNHK初の教養番組」ということで、NHKが特集することでゲームの社会的認知も広がるぞと嬉しく思った。
しかし実際に番組を視聴した後の感想は、「ゲームを深堀りできていない気がする」だった。
自分が番組を通じて、新しい知見をほとんど得ることができなかったことを悲しく思った。
番組の流れを振り返ってみる。
一本のゲームを取り上げ、「恐怖の正体」など、テーマ(ゲーム体験のコンセプト)を掲げて始まる。
ゲームの基本プレイを一通り見せて説明し、プレイ感想をMCが語り、ゲストはうなずきつつ補足する。
MCはゲームでの体験を、スポーツの試合だったら、ライブだったらと例えて、別の業界、ジャンルでも普遍的な現象だと語る。
普遍性を確かめ、だからおもしろいんだ、だから感動するのだ、と〆る。
普遍性と深みは、相反するのか?
私がコアゲーマー的観点から見ているために、番組のターゲットにしているライト層とのスタート地点の深みが違うことが原因ではないか。
自分は結構深いところにすでにいて、番組のスタートからゴールまで掘った深さは、自分がいるポイントを通過しなかったのか?
私はこの番組のターゲット層ではない。そう考えて途中からは黙って観ていた。
そうしているうちに先日、番組の総合ディレクターへのインタビューが公開され、番組の意図がいくつか明らかになった。答え合わせの時間である。
news.denfaminicogamer.jp
番組作りの苦楽や、クリエイターとしての葛藤も盛り込まれている、味わいあるインタビューだと思う。
一方で「ぜんぜん深掘りできていない」というご意見も多数いただいたのですが、僕はそれが成功だと思ったんです。先ほどおっしゃっていただいたレンジの広さの部分について “届いた” のではないかと。
番組ターゲットに関してはおおかた想像どおりだった。
だが、何を以て「深掘りしている」と言うのか、という点では、自分と解釈が違うようで何度か読み返して考えた。
「どこから」堀りはじめるかの違いだと思った。
三次元的な発想が足りなかった。
図示すると下図のようになる。
下図は、私が当初考えていた「ゲームを深掘りする」ことのイメージだ。
この縦軸の知的距離で、掘っているのかどうかを判断していたと思う。
しかし、番組サイドの「深掘り」度合いは、おそらく横軸の移動距離も含んだ深さを含んでいる。地球は丸い。
深掘りのZ深度だけはなく、XY座標のどこから掘り始めるのか。
これが私が「ゲームゲノム」から学んだことだった。
今後もレギュラー継続を狙っているということで、応援したい。
これからのゲーム文化の発展のために、「100分de名著」、「BSマンガ夜話」のごとく名物番組になってゆくことを願っている。
www.1101.com